AppleはPCブラウザのプレゼンスを失っているのか!?

Appleはパーソナルコンピューター向けブラウザ(以下PCブラウザ)のプレゼンスを失っている,と思える件。

例えばである,下の図をご覧いただきたい。

Safari PC Browser presence 01

これは,FirefoxOpera,そしてSafariJavaScriptベンチマーク結果である。
Safariは,Safari 5登場時の謳い文句にあった通りFirefox 3.6.xの2倍以上高速だ。しかし,(現状Operaの開発版のようなものが見つけられないため現行バージョンのみとなってしまっているが)Opera 11と比べれば1.3倍弱遅いのである。
そして,最新の開発版であるFirefox 4.0 nightly(b13pre)と同様にWindows版で最新の開発版であるWebKit r80213を比較しても,およそ1.26倍遅いのである。
(2011/3/8現在)

すでに旧世代と呼ぶにふさわしいFirefox 3.6.xの(JavaScript)ベンチ結果を除いてみると,以下のようなグラフになる。

Safari PC Browser presence 02

このように,昨今のPCブラウザ界隈では注目度が高いと言えるJavaScriptエンジンの開発では,同じレンダリングエンジンを採用するWebKit陣営ともいえるGoogle Chromeのみならず,FirefoxOperaの後塵を拝す結果となっているのである。

だかしかし,これを以てPCブラウザのプレゼンスを失いつつあると断じるわけではない。
もうひとつ,JavaScriptの高速化とともにSafari 5の特徴として挙げられ,その他ブラウザも導入しているブラウザ拡張機能があるが・・・。

Safari PC Browser presence 03

このように,Safari拡張機能配布ページはどことなく昔のAMO(addons.mozilla.org - Firefox Add-ons)に似ているとは思わないだろうか?
また,Extensions検索ボックス(あれ?Safari “Extesions”のはずなのに検索ボックスには“add-ons”と!)に何も入力せずに検索を実行するとすべてのExtensionsが一覧できるのであるが・・・,結果はわずか4ページ。初期表示が1ページに20個であるので設定できる最大の100個表示にしてしまうと,わずが1ページでそのすべてを表示することができてしまう。

このことは,Safariユーザーがデフォルトの機能で満足しているということがあるのかもしれないが,一方でその配布サイトのデザイン(や検索 ボックスの“add-ons”の文字)などを見ても他ベンダーの後追いであるアドオンという分野においては,Appleイノベーションを提示できていないということを物語ってはいないだろうか?

Safari PC Browser presence 04

上記グラフ(StarCounterより)を見てもわかるが,この一年Safariはそのブラウザシェアを伸ばしていない。(着実に伸ばしているのはGoogle Chromeだけであるが・・・)

Macユーザーがいる限り現状より極端にシェアが減ることはないかもしれないが,しかしよほどのブレイクスルーでもない限りPCブラウザの世界においてプレゼンスを増すことはないであろう。
Appleは,このまま自らの(Mac OSや,PCのiTunesまでをも含めた)iOS“エコシステム”に傾倒し,自らのルールの世界だけでSafariを活用していくのだろうか・・・。