株式会社はてなは,JIAAの行動ターゲティング広告ガイドラインを遵守していると言えるのか?

はてなブックマーク(以下,はてブと表記)というサービスが,ユーザーに大した周知もせずに勝手にブログパーツ等に類するサービスであろう「はてなブックマークボタン」でMicroAd社の行動情報取得を開始していたようだ。最近(3月に入ってくらい?)になって,各所で話題になっている。

はてなブックマークボタンは2011年9月1日より行動情報の取得をしている - ARTIFACT@ハテナ系

あるいはすでに下記のサイトのように,改変された9月当時に問題提起していたページもあったようだ。

M.C.P.C.: はてなブックマークボタンのJavaScriptがdocument.write使っていてXHTMLで不具合があったのが直った(または9月1日からオプトアウト版はてなブックマークボタンが出ていた件)
M.C.P.C.: 企業サイトで設置していたはてなブックマークボタンのマイクロアド行動ターゲティング解析のオプトアウト説明ができる自信がない

いろいろ問題点はあろうかと思うのだが,私的にとくに問題だと思えるのは「どうも問題のはてブ・ボタンを設置したページを訪れただけでトラッキング(情報取得)されている」らしいことだ。これはつまり,はてブ・ボタンを設置したり設置されたボタンを押したはてブ・ユーザー以外もトラッキングされるということではないだろうか?
ここで考えてみてほしい。いかに株式会社はてなが自社サイトにプライバシーポリシーを提示しようが,行動情報取得について明示しようがそれらはユーザーに対しての説明でしかないのではないか?
はたして,はてブ・ユーザー以外への説明や情報取得についての提示として十分なものであるのだろうか・・・。

ここで,はてブ・ボタンの行動情報取得について記載されているはてブ・ヘルプページ該当部分を見てみる。
行動情報の取得について

はてなブックマークボタンは、2011年9月1日より興味関心に基づく広告の掲載を目的とした行動情報の取得(個人情報以外)をしています。

この行動情報は株式会社マイクロアドのプラットフォームを利用し、Cookie を用いて取得されます。取得される情報は、ユーザーのみなさまが使用しているブラウザにおいて閲覧したページ履歴情報などで、これらはすべて匿名のものとして収集されます。個人が特定されうる情報(生年月日、メールアドレス、はてなIDなど)は一切収集されません。

Cookieと行動情報の取得は、広告配信の目的に限定しています。また、この取り組みは「一般社団法人 インターネット広告推進協議会(JIAA)」が定めるガイドラインに遵守しております。

匿名のブラウザ閲覧行動の取得・分析によって、ユーザーのみなさま1人1人が興味関心を持っているものや、みなさまにとって有益な情報となりうる広告を届けることが可能になります。

当機能の無効化をご希望のユーザーは、マイクロアドのページより無効化(オプトアウト)することができます。

また、行動情報を取得しない、はてなブックマークボタンをご希望の方はオプトアウト版はてなブックマークボタンをご利用ください。

はてブのヘルプなんてはてブ・ユーザー以外が見るのだろうか?また,オプトアウト版はてなブックマークボタンというページをご覧いただけばわかるが,まったく通常版はてブボタンと見分けがつかない。(そもそも外見で見分けがついたところで設置されたページを訪れた時点でトラッキングされてしまうので,意味はないのだけれど。)

さらにはてブ・ヘルプの行動情報の取得について,株式会社はてなが遵守を謳っているJIAAの行動ターゲティング広告ガイドラインを参照してみる。

第2章 行動履歴情報の取り扱いに関する原則
(透明性の確保)
第4条 (略)
2 掲載媒体社は、前項に加え、自社サイトのプライバシーポリシーなど分かりやすいページにおいて、行動履歴情報を行動ターゲティング広告に利用していることを明示する。

わかりやすいページに明示する,と規定されている。はてブ・ヘルプが果たしてはてブユーザー以外にもわかりやすいページと言えるのだろうか?



ブログパーツやソーシャルボタンの類でアクセスログが残るのは当然だけどトラッキングされるのは当たり前にはなっていない via 最速転職研究会

こちらにあるように,
どう見てもアウトだろ。理由は単純で、そういう目的で設置されたボタンではないし、はてなブックマークボタンが設置されているサイトは、はてなの管理してないサイトなのではてなの裁量でやってはいけないからです。

また・・・
いつの間にはてなブックマークボタン設置してるだけでMicroAdの広告が表示されるパートナーメディアになってしまったの?

という点が非常に大きな,そして非常識と言っても過言ではない問題なのではないかと思える。
実際に通常版はてブ・ボタンを設置したすべてのページに対して広告が表示されているのだろうか?そして,仮に表示されるとしたらそれははてブ・ボタンを設置したページ管理者が望んだ広告配信なのだろうか?
提供を受ける者の範囲間違ってるよね。間違っててもガイドライン遵守してることになるの?

最後に以下を引用させていただく。
ちなみに自分は以前にこう書いた。

http://d.hatena.ne.jp/mala/20111202/1322835191

 ちなみに自分は「広告以外の目的」で普及させたlikeボタンや+1ボタンを使って、ボタンをクリックした場合はともかく、表示しただけ収集可能になるWeb訪問履歴を使用してユーザーの趣味趣向の分析や広告配信の最適化のために使うことは、おそらく無いだろうと考えている。理由としては既に広告のターゲッティングのために十分な情報を収集していて、これ以上収集する必要がないであろうこと、表示しただけではノイズが多すぎるだろうこと、さらに加えると、いくら何でも良識のあるエンジニアが止めるだろうと信頼しているからだ。

これを書いた時に、はてなブックマークボタンの事例を全く知らなかったし、はてなには良識のあるエンジニアがいなかった・・・。GoogleFacebookもトラッキングに使うということを否定しているそれをやったら大問題だからだ